ならわい2022

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第1回目「はじまりのワーク」

ならわいプログラム第1回目@奈良市

奈良で働き・暮らすという選択肢を増やすため、奈良市役所は、2012年から創業支援事業に取り組んでいます。

10年目を迎えた2022年。創業支援事業の新たな取り組みとして、「移住×起業」を提案するプログラム「ならわい」がはじまりました。

ならわいは、県外在住の参加者と奈良の企業がともに、新規事業(なりわい)づくりに取り組むプロジェクトです。

第1回目のプログラムが、10/15-16に行われました。

会場は、近鉄奈良駅から徒歩5分。もちいどのセンター街にある奈良市の創業支援拠点「BONCHI」です。

4階のコワーキングスペース「TEN」では、運営事務局である一般社団法人TOMOSUや奈良市役所のみなさんが、参加者を迎えました。

「こんにちは!」

「とうとう奈良に来れました」

「やっとリアルで会えましたね」

すでにオンライン合同説明会や面談を重ねていたこともあり、会場には自然と会話が生まれます。

中でも、ひときわうれしそうな男性の姿がありました。1年以上にわたり、ならわいの構想を温めてきた奈良市役所 産業政策課の柏木さんです。

「参加者のみなさんと、やっとリアルに会えた。顔と顔を合わせることができて、ほんとうにうれしいです。」

今日は、はじまりのワークを行い、お互いの信頼関係を築く日です。

10/15のスケジュール

14:00- 自己紹介
15:00- お互いを知るための「偏愛マップ」
16:00- チームビルディングのための「ストーリーテリング」
17:00- チームごとの打合せ
19:00- 懇親会

はじまりのワーク

自己紹介

日本各地から、働きかたも暮らしかたも様々な参加者が集まりました。

・職業は学校の先生、家電メーカーの企画職、イラストレーター、コーチングの先生、料理研究家など

・奈良出身者と県外出身者が1:2

・現住所は東京、神奈川、千葉、愛知、大阪、兵庫

和やかな雰囲気の中、それぞれが参加への思いを話します。

「今は東京で働いているけれど、地元に帰りたくて。」

「はじめての配属先だった奈良が忘れられないんです。」

「10年ぶりに“おとなの修学旅行”をしたらハマってしまいました。」

「来春、奈良に引っ越し予定です!」

参加者のみなさんに続いて、スーツ姿の仲川げん・奈良市長も自己紹介。

参加者のみなさんへ、こうメッセージを届けました。

「ならわいという場を通じて、一人ひとりの人生における暮らしと仕事の融合点を設計してもらえたらと思います。」

はじまりのワーク①偏愛マップ

自己紹介に続いて、ワークショップがはじまります。

偏愛マップのワークでは、自分の「好き」を書き出すことで、掘り下げていきます。

ファシリテーターの東さんは、偏愛をならわいに活かしてほしいといいます。

「音楽、お笑い、ごはん、休日の過ごし方、影響を受けた人……。なにかを好きになれるって、すごいことです!『中小企業診断士の資格がある』とか『デザインができる』といったスキルに加え、『自分の偏愛』も、立派なリソースの一つです!」

東さんの話を聞いて、ふと思い出したのは、林田幸一さん(啓林堂書店)の事前インタビューです。

「東京と地方都市では、事業のつくり方が変わります。奈良は、東京に比べて選択肢が少ない代わりに、関係の深さが重要視されると思います。一緒に仕事をする方との関係においても、一度信頼を築くと、長いお付き合いとして継続しやすい傾向にあります」

ひょっとしたら、地方こそ、自分の偏愛もフルに活かして、なりわいを生み出せるところなのかもしれません。

まずは、10分間の個人ワークから。偏愛マップを書くペースは、人それぞれ。手を動かし続ける人も、スマホのアルバムから「偏愛」を掘り出す人もいます。

自己紹介の場面とは打って変わって、会場は静まり返っています。すらすらとペンを走らせる音に重なるように、秋風がそそぐ窓の外からは、近所の子どもたちの笑い声が聞こえてきます。

こうして、オンラインでは共有しきれない風や匂い、音を感じながら、ワークは進んでいきます。

書き上げた偏愛マップは、チーム内で共有。さらに、一人ひとりが自分の偏愛について話すことで掘り下げていきます。

こんな偏愛が聞こえてきました。

「奈良のパンが好きです。好きすぎて、地元では満たされません(笑)。見栄えより、素材を大事にしているところに惹かれます」

「春雨を偏愛しています!理由はラーメンよりも罪悪感が少ないから」

「東野圭吾さんの本が好きで。あと聖闘士星矢ですね!」

「旅行が大好きで今まで行った国は中国、香港、スペイン、アメリカ、オランダ、フランス、ドイツ、イタリア、クロアチア、ベトナム、タイ、シンガポール……」

自分の「好き」を人に話していくなんて、ちょっと照れくさく感じるかもしれません。

しかし、いざ始まると、ワークの時間が足りなくなるほど。休憩時間に入っても、まだまだ話は続きます。

はじまりのワーク②ストーリーテリング

16時ごろには、受入先企業のみなさんが順次会場に到着しました。

「新規事業への思いが強すぎて、いち参加者としてならわいに申し込もうと思ったぐらいです(笑)。」

そういって参加者を沸かせたのが、啓林堂書店の林田幸一さんです。

また、清澄の里 粟の三浦雅之さん・陽子さんは、ならわいで取り組む藁灰こんにゃくのプロジェクトを紹介しました。

ここからは、受入先企業のみなさんも参加しつつ、「ストーリーテリング」のワークがはじまります。これは、5つの質問に答えていくというもの。

受入先企業の一つである岡井麻布商店・岡井大祐さんのストーリーテリングを紹介します。

Q.今までの人生を振り返り、印象に残っていることは?

A.「在学中、自動車メーカーの最終面接まで進んだところで、『家業を継ごう』と決めたことですね。それでも、20代は土日も麻布を織っていたので、周りがうらやましかった時もありましたね。」
Q.今、力を入れていることは?

A.「成長できそうなことには、全力で参加します!ならわいがまさにそれ。機織りを継続していけたら十分なのか、もう一歩成長したいのか。どちらを選ぶかで、自分の選択肢が変わりますよね。」
Q.あなたの根っこにある想いは?

A.「生まれ育った田原地区には、幼稚園からずっと一緒にバカやってきた幼馴染たちがいます。みんなそれぞれに頑張っているから、自分も麻布を続けていきたい。それが自分の根っこになっています。」

あっという間に時間は流れていき、興福寺の鐘がゴーン、ゴーン、と聞こえてきたのは17時55分のこと。すでに4時間が過ぎようとしていますが、まだまだ、会場の話は尽きる気配がありません。

奈良好きの輪に出会う懇親会

19時からは、懇親会です。

テーブルには、郷土料理である「柿の葉寿司」をはじめとする料理が並びます。

実は、清酒発祥の地でもある奈良県。「はかた小料理 久美子」としても活動するならわい事務局(一般社団法人TOMOSU)の久美さんがセレクトした奈良のクラフトビール・地酒がずらりと顔を揃えました。

はたして今日は、参加者のみなさんにとって、どんな一日になったのでしょうか?

参加者の一人が、こう話してくれました。

「一人でなりわいをつくるのは大変ですよね……だからこそ、『ここで何かしたい』って思う仲間と出会えたことは大きい。気持ちが前向きになるし、何か実現していけそうな気がします!」

「ここで何かしたい」と思った時、暮らしの選択肢は広がっても、仕事の選択肢が限られてしまう場合だってあります。全5回のならわいは、自分の経験や偏愛を活かしたなりわいづくりに取り組む機会です。

閉会の時間になっても、まだまだ話し足りない、もっと奈良を知りたいといった様子のみなさん。夜の奈良に消えていきました。

明日は集まれるのか?!

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