活動記録

11/23のスケジュール
10:00- グループごとにチェックイン 10:10- 各チームから発表 11:30- 事務局からのお知らせ・次回最終発表について 11:35- チームごとの打ち合わせ |
オンラインで各チームが受入先企業に提案を届ける中間発表。この日に向けて各チームは、Slack上でやりとりを重ね、オンラインミーティングを行い、リアルでも集まりながら提案を煮詰めてきました。
中間発表後は、受入先企業からフィードバックを受け取り、12月15日の最終発表に向かって師走を駆け抜けます。
発表
中間発表はオンライン開催ながら、企業の方を前に、各チーム緊張の面持ちです。ここからは3チームが、各10分間の発表を行います。
奈良交通
どんなプロジェクト?
2023年に創立80周年を迎えた奈良交通株式会社。テーマは貸切バスからカルチャーを。奈良交通 地域連携推進グループと「バスを活用してワクワクする体験」を考えます。

チームでは、次のビジョンを策定しました。
「わたしたちは、人と人をつなぎながら、はしり巡って、奈良のあちこちまで光をとどける」

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続けて、このビジョンを実現する戦略を提案します。
母校の大学で学生向けにアンケートを実施したメンバーのひしかわさん。修学旅行以降は、貸切バスが旅行やエンタメとして学生の選択肢となっていないことがわかりました。
新たなファン層の開拓が大きな課題だと考えたチームは、3つの提案を行います。
①ワクワク体験できる「場」をつくる

「Welcome To NARA」をテーマに、ワクワク体験できる「場」をつくります。
対象は、奈良県で新生活をはじめる大学新入生や新入社員。
4月ごろに、生駒山上遊園地で夜間貸切営業イベントを企画。あるいは、奈良の魅力を伝えるお寺の住職さんにメンターとして関わってもらう提案もありました。
②奈良の特産品の応援団をつくる

奈良の特産品の応援団をつくり、定期的に奈良の特産品を楽しめる通販、動画配信、現地体験を組み合わせます。
③バスを改装する

また、チームでもっとも盛り上がった「バスの改装案」も発表します。
ならわい2022の受入企業である啓林堂書店とコラボしたブックバスや、奈良の薬草文化を受け継いだ足湯バスといった提案がありました。
受入先企業の声
さて、受入先企業の反応は?奈良交通の二人に話をうかがいます。

杉本さん(左)
「おもしろい提案をいただきました。今まで考えもしなかった内容で刺激がありました。特に大事だと思ったのが『Welcome to NARA!』。この企画は、奈良交通にとどまらない奈良のファンづくり、ひいては定住にもつながるのでは?」
「もう一歩突っ込んで考えてほしいこともお伝えさせてください。4月の開催とすると、どのように周知を行うのか?開催時期と周知方法についても考えていただきたいです」
浅井さん(右)
「『足湯バス』いいですね!ぼーっと1時間過ごしてみたいな…顔が綻んじゃいます。これまでは、使用しなくなった廃バスは売却処分してきました。だけど、地域と組み合わせることで、ワクワクする有効活用が生まれそうです」
「このチームの一番いいところは、ビジョンをしっかり考えている点。地域連携は人にあり、ですね。また、奈良特産品の『応援団づくり』はやりたい・やらないといけないところ。奈良で頑張る人たちを、奈良交通はどう応援いたしましょう?」
奈良市役所の河邑(かわむら)さんもつづきます。

「柏木課長とも話していたのですが『奈良交通の資産は人』。目的地へ行く移動手段はバス以外にもあるかもしれない。だけど、人と人は、間につなぐ人がいるからこそつながれるもの。奈良交通は何をつなぐのでしょう!」
そして、メンターのみなさん。
安田翔さん 応援団、いいですね。知らない同士が集う団体のバスツアーって緊張します。だけど、応援団というフレームがあることで、体験がコミュニティを生む。 杉本さんが話されていた「Welcome to NARA!」の時期と周知については、奥行きの設計ですね。1年目の参加者を入口として、リファラルで広まっていく可能性もあります。奈良の一員になったことをどう感じてもらえるか?参加者がどのように奈良との関係を築くか?どう奈良に人を呼んでいくか? |
佐藤啓一郎さん 「Welcome to NARA!」の企画は、通年開催してもおもしろそうですね。はじめて奈良にきた人はもちろんのこと、奈良に長年住んでいる人が奈良に出会い直せたら。たとえば冬に旬を迎える奈良のいちご。あすかルビーや古都華の畑を見たことがある人はまだまだ少ないでしょう。 あと、バスの改装案。「どこかへ行くためのバス」が「どこかからやってくるバス」になるという発想の転換がいいですね。 |
田島瑞希さん 可能性がぐーんと広がりましたね!だからこそ、初心のバスツアーに戻るのもおもしろそうです。たとえば、人のつながりがないと、なかなか行く機会がない奥大和。ディーーープな奈良へアクセスする入口をバスからつくれたら。 もう一度「ワクワク」という概念を掘り下げてもいいと思うんです。知的好奇心を掘り下げるワクワク?それとも、全身でたのしいワクワク? |
3つの提案を行ったチーム。最終発表に向けて、どのように提案を煮詰め、提案し、実現していくのでしょうか。
バンビシャス奈良
どんなプロジェクト?
プロスポーツ、どう経営する?バンビシャス奈良・加藤社長と「ロートアリーナ奈良の全試合観客満席」を設計します。

「仕事や家庭に追われていても、自分のやりたいことに取り組んでいいんだ」。そう気づかせてくれたのが、バンビシャス奈良チームでした。
平日はならわいに時間を割くことがむずかしいチームメンバーの3人。いそがしいなかでも、毎試合1,000名の観戦者数増加を目標に掲げ「Web上でのリサーチ」「奈良での試合観戦」「100人以上へのアンケート」という3つのアプローチを実践してきました。
中間発表では、プロジェクトのコンセプトを受入先企業に共有します。
「奈良での試合観戦」について話すのは、メンバーのふじたさん。東京と奈良の二地域居住をしています。
「バンビシャス奈良のホームであるロートアリーナ。1972年に建てられた施設の外観は、昔ながらの体育館といった面持ち。だけど中に入ると、誇り、ドキドキ、ワクワク…『こんな場所が奈良にあったんだ!』と想像できない世界が広がっていました」
まずは奈良のことをよく知りたいと思ったメンバーたち。こんな疑問がふつふつと湧いてくる。
「奈良らしさってなんだろう?みんなは、どんなことにときめいて暮らしてる?奈良にドキドキワクワクは足りている?」
そこで分析を行ったのが、「奈良県民を構成している3層」でした。

分析を通じて明らかになったのは「ドキドキワクワクを他府県に求めていること」だとふじたさん。
「あれ?バンビシャス奈良が、ドキドキワクワクを届けられるのでは?。“バスケットボール”という枠を外して、奈良県民のドキドキワクワクをつくる場になれたら」
そこで「『スポーツ観戦』から『イベント参加』へ」という次のスローガンを考えました。
さらに、戦術の見直しも行います。
バンビシャス奈良がSNSでの情報発信から試合観戦、そして試合後の過ごしかたまで含めた行動をデザインする。

「これにより、発信のデザインが変わり、出会っていきたい人たちが変わり、あたらしいバンビシャス奈良がはじまっていきます」
受入先企業の声
さて、受入先企業の反応は?バンビシャス奈良の加藤さんに話をうかがいます。

「奈良県民の分析をよくしていただいているな…。バンビシャス奈良への理解がすごくされていたな…。感心しました。“バスケットボール”という切り口だけでは、ごくごく限られている奈良県民にしかアプローチできず、目標とする来場者数にも届きません」
「もう一つの“フック”が必要だったんです。来場までのデザインを構築しようとしているのが、すごくいい。奈良県民が『週末どこ遊びに行こうかな』と考えるときに『ユニバ?』『海遊館?』『ごはん』いや『バンビシャス奈良』と選択肢になる。バンビシャス奈良を選んでもらうたたかいでもあります。
あとは伝えかたのデザインですね。バスケットボールにかぎらず、奈良県におけるプロスポーツの課題です。収支も詰めていけたら、実現可能性がますます高まります!」
そして、メンターのみなさん。

佐藤啓一郎さん 「奈良にあるもの・ないもの」のリストアップがおもしろかったです。「奈良にないもの」をすごくほしがる年代が「高校生・大学生」で、そのエネルギーがぎゅっと吸い寄せられる「ラウンドワン」。あのエネルギーとコラボが生まれたらいいだろうな。 気になったのは、顧客設定です。絞り込んでいくことで、今までになかった刺さり方をしそう。 |
安田翔さん ぼくも顧客が気になりました。たとえば奈良の大学生から「休日奈良で遊ぶわけないじゃないですかー」と言われたことがあります。そんな学生たちがめっちゃバンビシャス奈良の観戦に行くとかね。 あと、ビジネス的には何を変えるのがクリティカルなんでしょう?はじめの一歩として、ならわいで何を変えますか? |
リリオンテ
どんなプロジェクト?
奈良のおいしいとは。リリオンテ・栢森(かやもり)社長と「国産青果クラフトチップスの商品企画」を描きます。
柿の旬を迎えた11月19日。栢森社長からうれしい知らせが届きました。

2025年春の稼働に向けて、リリオンテでは準備が進んでいます。
この日は、工場から作業服で参加した栢森さん。チームからは、販路を中心とする提案がありました。

「奈良を訪れる人を『観光客』と『自分の楽しみのために訪れる人』に分けました。リリオンテの主力商品である『ショコネ』の主な販路はお土産店です。数多くのお土産が並ぶ店頭で選ばれるには、棚やPOPに工夫を施し、目立たせることが必要です」
「ですが、クラフトチップスを届けたいのは『奈良が好きで自分の楽しみのために訪れる人』。届けたい人が変わると、販路も変わります」

「クラフトチップスのストーリーを、じっくり伝えられる接点をつくりたい。そこで浮かんできたのが、バーやホテルラウンジでの提供でした」

中間発表のおわりには「11月30日にBONCHIでサンプリングを実施します」と発表がありました。その際にアンケートを実施するとのことです。

しかし、この提案にはメンターのみなさんから「?」が寄せられました。
田島瑞希さん アンケートは仮説を検証するために行うものです。実施場所として、ほんとうにBONCHIが最適ですか?検証したいターゲットとずれているんじゃないかな? |
安田翔さん 果たして「青果クラフトチップス」は、奈良のお土産として刺さるのでしょうか?たとえば素材の一つである菊芋は、どう伝えますか? 定番のお土産をつくるのって、ほんとうにむずかしいんです。なかなか売れなかったお土産が、鹿の刻印を一つ押したことで3倍以上の売上になることだってあります。お土産に求められるのは、結局奈良らしさなんですね。売れているお土産のコミュニケーションをリサーチしては? |
受入先企業の声
さて、受入先企業の反応は?リリオンテの栢森社長に話をうかがいます。

「脳に汗をかいて考えている様子が伝わってきました。リリオンテが持っていない販路を考えてくれるのがうれしい。飲食店での可能性を探れていなかったので興味深いです」
「ところで、気になった点が一つあります。第1回目で『こんなお菓子あったらいいな、という自身のワクワクから商品企画を考えてほしい』と伝えました。みなさんはワクワクしていますか?みなさん自身がワクワクして、食べたくてたまらないおかしってどんなものですか?」
「国産青果クラフトチップスの商品企画」という抽象度の高いテーマに臨むなか、販路開拓というわかりやすい出口に向かおうとしていたチームへの問いかけでした。

第1回目ではドイツにあるお菓子工場の写真を紹介し「マシュマロのくまさんにチョコレートのシャワーが降ってくるようなお菓子ファクトリーを奈良につくりたい」と話していた栢森さん。
誰よりもワクワクを大切にしているからこそのエールです。
最終発表に向けて
この日、ミーティングを我がことのように見守っていたのが、事務局のあいこさんでした。自身が参加したならわい2023を振り返ります。
「ここからが勝負。わたしたちのチームも、中間発表からがらりと変わったなあ。日本各地にいるメンバーが毎日オンラインで集まってやりとりを重ねるものだから、みんな奈良にいるみたいでした。みんながんばれー」
次回は12/15の最終発表です。残り22日、全力で走り抜けましょう!
(編集 大越はじめ)