活動記録
ならわいプログラム第1回目@奈良市
奈良で働き・暮らすという選択肢を増やすため、奈良市役所は、2012年から創業支援事業に取り組んでいます。
10年目を迎えた2022年。創業支援事業の新たな取り組みとして、「移住×起業」を提案するプログラム「ならわい」がはじまりました。
ならわいは、県外在住の参加者と奈良の企業がともに、新規事業(なりわい)づくりに取り組むプロジェクトです。
第3回目となる「ならわい2024」。
初日のプログラムが、9月6日から7日に行われました。
暑さは和らいだものの、まだまだ日傘を差して歩く人が目立つ近鉄奈良駅前。ここから徒歩5分のところに会場があります。もちいどのセンター街にある奈良市の創業支援拠点「BONCHI」です。
4階のコワーキングスペース「TEN」では、運営事務局である一般社団法人TOMOSUや、主催する奈良市役所のみなさんが、参加者を迎えます。
そのなかに、あいこさんの姿がありました。
あいこさんは、ちょうど一年前に、「ならわい2023」の参加者として、この場に立っていました。
そして、こう話していました。
「東京出身のわたしは仏像が好きすぎて、毎年奈良を観光していました。これからの自分の人生の時間をどうつかっていこうかなと考えるなかで、『奈良に住みたい』と思って。その方法を見つけたくて参加しました。」 |
「ならわい2023」では、Good Job!センター香芝チームの一員として、ツアー事業を企画提案。そして、2024年に奈良へ移住することに。TOMOSUで、ならわいの事務局を務めています。
今年3年目を迎えるならわいには、これまでに17人が参加。そのうち5人が奈良県へ移住しています。
タイムテーブル
14:00- 開会のあいさつ 14:05- ならわいについて 14:10- はじまりの自己紹介 14:30- チームビルディングのワークショップ 16:00- 休憩 16:10- 企業紹介 16:40- 企業とチームの顔合わせ 18:30- 懇親会 21:00 解散 |
はじまりの自己紹介
はじまりのあいさつは、産業政策課の柏木課長から。
「『変わっていきたい』『新しいことをしたい』。面談を通じて、そんな気持ちを参加者のみなさんから感じました。ならわいが、関わる人同士がいっしょに成長する機会になればと思うんですね。あいこさんのように運営をする人も、熱意を持って取り組んでくださる企業のみなさんも。ぼく自身、毎年思いもよらない気づきを得ています。参加者、運営、企業のみなさんでならわいをつくっていきましょう」
続いて、参加者の自己紹介です。
参加者は計9人。
日本各地から、働き方も暮らし方もいろいろな人が集まりました。
職業
フリーランスが1人、法人勤務が8人です。 中小企業診断士、自治体職員、メーカーの研究職、企画職、みりんの製造販売職、グルメ情報サイトの企画運営職、事業開発支援職など |
出身と居住地
出身は、奈良が4人、東京2人、神奈川、千葉、熊本とさまざまです。 |
居住地は、愛知2人、東京2人、神奈川2人、千葉、三重、そして東京と奈良の2地域居住をしている人も |
参加した理由
地元の奈良に帰ってきたいんです。ふだんはみりんの製造販売をしているので、奈良で調味料に関わる仕事をしていけたら(奈良出身) |
地元を出て暮らしたことがありません。だけど、年に2回旅行する奈良が好き。奈良大学の通信講座も受講しています。ならわいを通じて、縁を深めたいです(県外出身) |
チームビルディングのワークショップ
次に、チームビルディングのワークショップを行います。講師をつとめるのは、人材育成を行う有限会社ならがよいの平田 幸一さん。
「奈良は気づきを自分ごとにしやすいまち。そして一人ひとりの気づきをプロジェクトにしやすいまちだと思うんです」
奈良にないものをつくろうと考えた平田さん。
奈良市には、映画館がないことに気づきました。
そこで、映画館並みの設備でプライベートシアターを楽しめる「ならまちシアター青丹座(あおにざ)」をはじめました。多くの人が訪れ、メディアでも広く紹介されるように。
「奈良は、新しいものをおもしろがってくれる土壌があるんですね」
遠くへ行きたいなら、人と行け
ならわいは、3人一組で取り組むプロジェクトです。どうしてグループで取り組むのでしょうか。
「『早く行きたいなら、一人で行け。遠くへ行きたいなら、人と行け』というアフリカのことわざがあります」
と平田さん。そしてこう続けます。
「わたしたちは一人で生きているわけではないんですよね。人と生きています。人と行くと、最短距離では進めないかもしれない。だけど、一人ではたどり着けない風景に出会える可能性があります」
「まずはセルフアセスメントして、自分を知ることからはじめましょう」
自分の思考タイプを理解する
手渡されたのは、ハーマンモデルのセルフチェックシート。
記入していくと、ならわいの参加者について、2つのことがわかりました。
はじめに、新しいものをおもしろがろうとする人が多いこと。そして「目の前の人を大切にする」人が多いこと。共感性が高く、人の表情や仕草といった非言語的な情報を汲みとる力が豊かだともいえそうです。
チームをつくる
続けて、セルフチェックシートをグループごとにシェア。お互いを知る糸口にします。
「『自分は周りの5人の平均になる(ジム・ローン)』ということばがあるように、環境が変わると人は変わります。セルフチェックシートで導き出された思考パターンを決めるのは『先天性が3割、後天性が7割』だそう。グループでおたがいを知って、違いを認めあって、寛容になって、よりよいチームに育っていくんですね」
最後に、平田さんから。
「わたしたちはいろいろな情報を得て、気づいて、考えて、行動します。行動から生まれる変化はちいさなもの。だけど反復していくことで、変化が成果を生みます。よい4ヶ月にしましょう!」
奈良にワクワクを
ここからは、受け入れ企業の3社も会場へ。それぞれのプロジェクトを紹介しました。
それぞれのプロジェクト紹介を終えた後で、顔を見合わせるみなさん。
「みんな、奈良でワクワクしたいんですね…!」
今年集まった3社には、共通することがありました。
バスを活用して非日常の体験を提供したい奈良交通。ドイツにあるお菓子工場の写真を紹介し「マシュマロのくまさんにチョコレートのシャワーが降ってくるようなお菓子ファクトリーを奈良につくりたいんです」とリリオンテ。そして、バスケ旋風が吹くなかで活動するバンビシャス奈良。
奈良交通のバスでバンビシャス奈良の試合観戦に向かい、リリオンテのお菓子を味わう。そんなコラボも生まれるかもしれません。
奈良好きの輪に出会う懇親会
このあとはグループごとに集まり、明日のフィールドワークに向けて打ち合わせます。
ワークのあとは、懇親会です。
テーブルの上にずらりと並んだのは、奈良産のフード。清酒発祥の地である奈良を代表する日本酒・クラフトビールや、特産品である柿の葉寿司が顔をそろえます。
この場では、メンターとしてチームを見守っていくみなさんにとっても、ならわいは思い入れのあるプロジェクトだということが伝わってきました。
秋田から奈良へ移住しているメンターの佐藤啓一郎さん。
「奈良のまちがどんどん観光以外で盛り上がってきているんですよね。奈良に絡んでいくのは面白いですよ」
また、東京から奈良へ移り住んだのが田島瑞希さん。
「ならわいは毎年奈良を知って職種を伸ばしていくきっかけ。バンビシャス奈良の試合も楽しみ!」
それぞれの気持ちを、どうやって奈良でつなげていこう。フィールドに出て、新規事業を考えて、自分のこれからを見つけていく。
ならわいの4ヶ月間が、今日はじまりました。
明日は、朝からフィールドワークです。
番外編
奈良で全員が集まれるのは、第1回目と最終日のみ。どんどん仲良くなりましょう、ということで、2次会へ。
向かった先は「博多小料理 くみ子」。ならわいの事務局を2年間務めたくみ子さんが、2024年9月3日にオープンしたばかりのお店です。「いつか自分のお店をかまえたい」と話していたくみ子さん。ならわいでの経験もまじえ、ついに自分のお店をはじめました。
明日は、朝からフィールドワークです。
(編集・撮影 大越はじめ)