ならわい2023

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第1回目 GoodJob!センター香芝のフィールドワーク

プロジェクト

障害のある人とともに、新しい仕事や働き方に取り組むこの場所で、人の視点が広がる観光を提案します。

8/20のスケジュール

10:00-チームごとのフィールドワーク
15:00-ふりかえりと発表
17:00-解散

この日は、チームごとに企業の現場を訪問するフィールドワークを実施。

その後はBONCHIへ戻り、フィールドワークにより「わかったこと」をもとに、「これからのこと」をまとめていきます。

GoodJob!センター香芝へ

BONCHIの最寄駅である近鉄奈良駅。駅前にはアーケードの商店街が続き、観光客でにぎわっています。

そこから電車で約50分。

近鉄下田駅周辺には、商業ビルやマンションが建ち並びます。

奈良県香芝(かしば)市は、大阪へのアクセスがよいことから、ベッドタウンとして発展してきたまち。

駅から歩いて6分のところに、GoodJob!センター香芝はあります。

ショップを見学しよう

GoodJob!センターに入ると、部屋ごとの区切りがない「ひとつながりの空間」が広がります。

入り口付近はGOOD JOB STORE。

GoodJob!センターでつくられた商品や、全国の福祉作業所から集められたお皿から化粧ポーチまでが、ぎゅうぎゅうに並んでいます。

あざやかな色づかい、そして作り手の息づかいが聞こえてくるような手仕事のあと。

一つひとつの商品が、豊かな個性を放っています。

そんなGOOD JOB STOREに見入っていると、

「こんにちは!」

と、ひときわ大きな声でGoodJob!センターのみなさんが迎えてくれました。

案内をしてくれるのは、センター長の森下さん。

「『町並みをつくるアートの森』をテーマに、o+h / 一級建築士事務所さんが設計した空間です。働く一人ひとりが、それぞれに気持ちの良い場所を見つけて仕事をしています。建物のどこにいても、おたがいの気配を感じつつ、居られるつくりになっています。」

「奥には工房があり、ものづくりが行われています。日当たりのよい窓辺の机も、少し奥まった作業机もあります。」

GoodJob!センターを代表する商品の一つが、中川政七商店と共同開発した「鹿コロコロ」です。

伝統工芸である張り子の型となる部分を、3Dプリンタで出力しています。

「このセンターでは、障害のある方のおもしろい表現や、すぐれた手仕事を、3Dプリンタやレーザーカッターなどのデジタル工作と組み合わせて、ものづくりをしています。」

3Dプリンタを活用して、干支の張り子などもつくられています。

張り子の商品を手に取る参加者たち。

「かわいい!」「味があって、豊かな表現だなあ。」

ものづくりを見学しよう

「それでは、2階へ行きましょうか。」と森下さん。

Good Job!センターでは、ものづくりを行う工房に加えて、流通の仕事も行われています。

扱う商品の数は、なんと4000点以上。

2階でお迎えしてくれたのは、メンバーのたむちゃん。

「ぼくのおすすめはコレです。」

ポーズを決めたかと思うと、A4のメモを手にとり、流通部門の仕事を紹介してくれました。

「Good Job!センターでは、全国の福祉施設でつくられている商品を仕入れて販売しています。奈良県の地域で活動している方の商品も仕入れて販売をしています。」

たむちゃんの説明に合わせて、センター長の森下さんが言葉を補う場面も。

息がぴったりな二人の姿からは、利用者さんとスタッフさんの間に時間をかけて育まれた信頼関係が伝わってきます。

ものづくりを取り巻く和やかな雰囲気にふれ、目を輝かせる参加者のみなさん。

「この商品にも、あの商品にもストーリーがあるんだろうな。」

一つひとつの商品への眼差しが変化していきます。

せっかくなので、すこし時間を設けて、買いものをすることに。

参加者たちが会計を終えたところで、センター長の森下さん。

「今のみなさんのように、シンプルにお買いものを楽しむお客さまが増えたらいいな、と思っているんです。」

GOOD JOB STOREに並ぶのは、障害のある人とともに福祉作業所でつくられた商品です。

しかし、参加者は障害や福祉ということばを忘れて、商品そのものに魅力を感じていた様子でした。

GoodJob!なツアーを考えよう

続けて森下さんは、今回のテーマである「観光」について話します。

「GoodJob!な仕事が注目されて、全国から多くの方がはるばるこちらへ見学に訪れてくださるのですが……。そのあとは、どこにも寄らずに帰ってしまう方がほとんどです。」

「遠くからせっかく来ていただいた方々に、次の行き先を提案して、もっと奈良のことを知ってもらいたいんです。」

森下さんが描こうとしているのは、障害や福祉といった枠にとらわれることなく、地域全体をよりよくする観光なのかもしれません。

とはいえ、ここから東大寺や興福寺、奈良公園のある近鉄奈良駅までは電車で50分。気軽に寄り道する距離ではなさそう。

「どうしたら『もうちょっと奈良で遊んでみようかな』と思ってくれるんでしょう……」と森下さん。

参加者のみなさんも、うーん……と頭を悩ませます。

「逆に、奈良観光のついでにGoodJob!センターに立ち寄る人はいますか?」

角度を変えて質問を投げかけたのは、メンターの安田さん。ならわいでは、各チームにプロジェクト進行をサポートするメンターがいます。

安田さんの質問を受けて、森下さん。

「ふらっと買いものに来る方も少ないんです。お客さんのほとんどは福祉、それから建築に興味がある人なので、目的がないと来づらいのかな。」

安田さんの質問に、参加者が続きます。

「どういう人に来てほしいですか?」ともりいさん。

森下さんは、こう答えます。

「シンプルにものづくりに関心がある方とか、かわいい雑貨が好きな方とか。目的がなくてもふらっと来てくれて、楽しい気持ちになっていただける人が増えるとうれしいですね。」

「ずっとそうなったらいいな、と思っているんです。」

ならわいの魅力の一つは、企業の方が抱える思いにダイレクトに触れられること。

真剣に考える森下さんを目の前にして、参加者のスイッチも、さらに深まった様子です。

発表

その後はBONCHIへ戻り、フィールドワークにより「わかったこと」をもとに、「これからのこと」をまとめていきます。

そして、最後に発表を行いました。

わかったこと

・障害のある方がいきいきと働く現場の様子がわかりました。全国から視察に訪れたくなるのもうなずけます。

・一方で、次の目的地を見つけられていないので、すぐに帰ってしまうという悩みもわかりました。

・ツアーづくりのヒントとして、次の2つをいただきました。

「視察に限らず、日常づかいしてくれるお客さんにも増えてほしい」

「福祉業界にとどまることなく、奈良や地域全体をもっと楽しくしていきたい」

これからのこと

・今日わかった課題をもとに、全国から視察に訪れた方向けのツアーをつくりつつ、地域の方々にふらっと立ち寄ってもらえる集客プランを提案します。

中川政七商店 奈良本店へ

発表後には、中川政七商店 奈良本店へ。

鹿コロコロの売り場を見学することで、ツアーのイメージを膨らませて、解散となりました。

第2回目は9/3です。

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