活動記録

第3回目 リリオンテ

プロジェクト

奈良のおいしいとは。リリオンテ・栢森社長と「国産青果クラフトチップスの商品企画」を描く

11/4のスケジュール

 

10:00-前回のふりかえり
10:10-ゲストトーク:浪岡安則さん(奈良醸造)
11:10-チームごとのワーク
12:40-チームごとの発表
13:00 解散

オンライン開催となる第3回目は、チームごとの「前回のふりかえり」からはじまります。

続いてゲストトーク。奈良市でクラフトビールをつくる奈良醸造の浪岡さんに話をうかがいました。

 

順調に販売量を増やす奈良醸造のクラフトビール。北海道・小樽から沖縄・那覇まで全国で愛飲される販売戦略を聞いていきます。

「わたしが奈良で起業をするときに、先輩から言われたことがあります。『奈良はマーケットサイズが小さいから難しい』。だけど、わたしは奈良でできることを証明したいんですね。創業して6年目を迎えます」

1979年奈良県生まれの浪岡さん。2002年に奈良県庁に土木技師として採用。2015年に奈良県庁を退職。京都醸造株式会社に入社します。そして2017年に京都醸造を退職し、奈良醸造株式会社を設立しました。

公務員の仕事は、受益者全員に対して、均一な品質保証が求められるもの。対してビールは嗜好品です。「日本全国のクラフトビールマニア」と「奈良に関係のあるすべての人」に、奈良醸造のビールを届けたい。そこで、ファンになってもらう取り組みを、SNSを通じて行います。

「わたしたちがビールのおいしさを訴えるのではなく、ビールを飲んでくださった方がついつぶやきたくなるには。そう考えています」

そこで行うのが、コンセプトをビジュアライズしたデザインや、窒素ガスで缶充填を行うナイトロ缶の採用です。

また鮮度を売りにする大手と同じ土俵で競うことなく、熟成を味わうビールも提供しています。こちらの賞味期限は3年!

 

「ですが、立ち上げ当初は認知度が低く、いいものをつくっても売れませんでした」。そこで生まれたのが、先人の胸を借りることでした。酒造りの姿勢にシンパシーを感じた風の森(油長酒造)とコラボレーションしたUNDERWATERは、2021年から2024年にかけて毎年醸造されています。こうして、嗜好品つながりで奈良醸造のファンが広がっていきます。

また大手が鮮度を売りにするなか、同じ土俵で戦うのではなく、賞味期限が3年間という時間をかけた熟成を味わうビールを提供。

「とはいえ、いいものを作っても売れないんです。どう認知を広めていくか」。そこで考案したのが、コラボレーションでした。酒造りの姿勢にシンパシーを感じた風の森(油長酒造)に胸を借りることに。嗜好品つながりでじわじわとファンが広がっていきます。

 

最後に浪岡さんからならわいの参加者へ向けたメッセージがあるといいます。

「事業をしていると、いろいろな声をいただく機会があります。『インフルエンサーに配布してPRした方がいい』『そもそも大阪でやった方がいい…』そんななかで、大事にしていることがあります」

 

うまくいかなかったときだって、自分で判断したならば、人のせいにはできない。だからこそ、日ごろから自分のやりたいことを言語化しつづけるのが大事だというメッセージでした。

チームごとのワーク

 

ストーリーを伝える

以前から、商品の魅力を伝える「ストーリーカード」をつくるアイデアが出ていたリリオンテチーム。「味わいをビジュアルに残す」という奈良醸造さんの話を聞いて、確信につながりました。

 

メンバーのしげもりさん。

「奈良市役所の柏木課長が、奈良醸造さんのカードをたくさん大事に保管している姿が印象的でした。わたしたちの考えるストーリーカードも、すぐゴミ箱行きになるものにはしたくないな。家に持ち帰りたくなるものがいい。やっぱりデザインが大切ですね」

この話を受けて、同じくメンバーのまつもとさん。

「そうそう。奈良醸造さんはデザインが印象的でした。ついジャケ買いしたくなる!この話は、チップスに特別感を生むことにもつながりそうです」

また商品名についても、ストーリーが伝わるようなネーミングを検討します。

チップスやフライという言葉をつかう案から「奈良のかけら」といった日本語の案まで。菊芋や柿をつくる農家さんの顔が見える名前はどうか。あるいは「なんだろうこれ?」という引きのあるネーミング。「リリオンテ」という企業イメージとのバランスも考えたい。

アンケート

そしてチームからは、アンケート実施のアイデアが上がります。

ここで、メンターの佐藤さん。

「アンケートはそれ自体が目的ではありません。まずは自分たちのプロジェクトの仮説を定めること。その裏付けとしてアンケートを行いましょう」

メンバーは、アンケートを「Webで行うか紙で行うか」についても話し合います。

しげもりさんは、仕事でWebアンケートを行ったときの経験談を紹介します。

「Webアンケートって、なかなか答えていただけないんですよね。一定の回答数を集めるまでに時間もかかります。最終発表まであと2ヶ月です。今回は飲食店で試食を行い、その場で5-10問程度のアンケートに答えていただくのがよさそうです」

たかやしきさん

「その上でQRコードを入れて、あとからでも答えられるようにしては?」

しげもりさん

「そうしましょう。仮説が正しかったね、というアンケート結果が集まるといいんですけど」

佐藤さん

「今やっていないことにトライすることで、リリオンテさんにも見えていなかった視点が見えてくる。そのことが重要だと思います」

発表

わかったこと

 

・前回までに、ストーリーを伝えるための場として、バーやホテルラウンジを設定しました。そして今回は、どんな人にどう伝えていくかを設計しました。
はじめに「どんな人に」についてです。奈良を訪れる人には2種類います。「一般的な観光・ビジネス出張の人」「自分が楽しむためにくる人」です。わたしたちは後者にアプローチします。そしてどう伝えていくか。その方法がストーリーカードです。

これから

 

中間発表に向けて、アンケート内容とストーリーカードの準備を進めていきます。その後、アンケートを実施して、最終発表に臨みます。アンケートの実現に向けて、奈良市内にある飲食店さんへの打診も行います。

参加者やメンターからの質問

 

Q.安田さん
いいターゲット設定ですね。次に、奈良好きの人たちがどのように行動するのかを考えてみましょう。たとえば、ならわいの運営を行うあいこさんもその一人でした。

A.あいこさん
奈良に来ると、人の多いところでせかせか行動するのではなく、ゆっくりとぜいたくな時間を過ごしていましたね。そういう視点ではロースタリーやバーとの相性はいいのかなと思いました。

Q.田島さん
コアな奈良ファンのなかには「修験道」や「薬草」に興味もある人もいますね。そういう人たちに向けて、土地のものを食べることで自分を整える「身土不二」「医食同源」を提案してみる。今日の奈良醸造さんの話も活かして、脈々とつづく土着の文脈に胸を借りるのはどうでしょう。

A.まつもとさん
宇陀ではスパイスをつくる方も多いので、つながりそうだと思いました。

終了後も打ち合わせを行うと、次のようなアイデアが出てきました。

「最終発表では、アンケート結果とストーリーカードを会場で配りたい」

第4回目は11/23です。

(編集 大越はじめ アシスタント 奥田しゅんじ 撮影 中部里保)