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6FARMとともに「奈良のいちご 古都華」を全国ブランドに

どんなプロジェクト?

2022年創業のいちご農園・6FARM。

「完熟いちごを届けたい」という思いから直売メインの販売を行っています。

6FARMが育てるのは、奈良のブランドいちご 古都華(ことか)です。

奈良県内での認知は高まりましたが、県外ではまだまだ知られていません。

古都華が全国区となる取り組みを行います。

参加者に取り組んでほしいこと

糖度が高く、美しいルビー色の古都華。一度食べるとファンになる人は多いものの、生産量は限られています。ちなみに都道府県別のいちご生産量を見ると栃木、福岡、熊本、愛知、静岡、長崎、茨城、千葉、佐賀、宮城…と続きます。

こうしたなかで、どう古都華は生産量ベースではない全国ブランド化をめざすのか。奈良県全体で産地として一層盛り上げていくのか。あるいは、お土産品としての展開を強化していくのか。取り組み内容は、参加者のみなさんに委ねます。

6FARMってどんなところ?

Google Mapsに案内されるまま自動車で向かった6FARM。奈良市大和田町の畑の中に、いちごのビニールハウスが見えてきました。

この日訪ねたのは、ならわいを主催する奈良市役所の三浦さんと事務局を担うTOMOSUの乾さんです。

時間は13時。ビニールハウスに併設された直売所で話を聞きます。

毎年9月に植え付けを行い、12月から5月にかけて収穫を迎えるいちご。6FARMでは、奈良県産の品種である古都華を栽培しています。販路をたずねると、手土産としてのニーズが多く、ほぼ全量を直売とECサイトで売り切るとのこと。また知人が営む飲食店や、奈良市のふるさと納税、道の駅「クロスウェイなかまち」への販売も展開しているそう。

こうした状況を受け、2025年9月の植え付け分からは、あらたに300坪のビニールハウスを増設する予定です。

ならわいの参加者たちを受け入れるのは、6FARMの渡辺邦彦さんと美咲さんです。

ならわいで取り組む「奈良のいちご 古都華の全国ブランド化」とはどういうものでしょうか。

「古都華は、奈良県内での認知はかなり高まりましたが、県外ではまだまだ知られていません。たとえば、兵庫県の駅ナカで販売したときのこと。ほとんどの人が古都華を知りませんでした。でも、実食してもらうと味の評価は高くて、気持ちよく買っていただけたんです」

「また今後は加工品にも力を入れていきたいです。でも、加工品の販路開拓は青果とは別もの。ほんまに難しい。だからこそ、まずは古都華のブランドを高めることで、加工品にも手を伸ばしてくれる機会を増やしたいんです」

ここからは、プロジェクトのヒントを聞いていきます。

創業:はじまりは防災のいちご農園

6FARMの創業は2022年。奈良県出身の渡辺さんは学校卒業後、飲食の仕事をしてきました。

現在は奈良市内でバーと焼き鳥店を経営しています。どうして農業をはじめたのでしょうか?

「災害に興味があったんです。南海トラフ地震の話題があるなかで、万が一のときでも野菜やお米があり、従業員の命を守ることができたら。それで以前から、一次産業に興味がありました。とはいえ、農業はマメな仕事。自分には向いていないと思っていたんですけどね。年を重ねた今、ちょうどよく感じています」

きっかけはコロナ禍。飲食店の営業がままならない中、知人から古都華をいただいたことで、いちご農家を志すように。飲食店経営をしながら、2年間ほど“師匠”と仰ぐいちご農家さんのもとで、修行をします。その合間に、自身の農地探しをはじめます。

「完熟いちごを手土産として届けたいので、直売所メインでの販売を考えていました。そこで、奈良市の市街地から車で買いに来ていただける立地を探し回ったんです。富雄川沿いがよかったんですね。生駒市高山地区から、こつこつと地主さんと交渉していきました。とはいえ、ぼくには農家としての実績がないので断られ続けます」

「『立地を諦めないといけないのか』と思いはじめたころ、知り合いづてに出会ったのが、今の土地です。まさに探し求めていた理想の土地でした。奈良県の『農業の担い手サポートセンター制度』を活用して、3反(900坪)の土地を10年契約で借りることになったんです」

価値:こだわりは完熟

「右のいちごは、ちょっとオレンジ色のところがあるのがわかりますか?完熟ではないんです」

6FARMは、完熟いちごにこだわります。しかし、写真で見ても、いや肉眼で見ても、完熟いちごの見極めはとても難しいもの。渡辺さん自身も、いまだに頭を悩ませることがあるのだとか。

なぜそこまで完熟にこだわるのでしょうか?

「ぼく自身が、完熟いちごを食べて感動したからなんです。90%熟したものと完熟いちごでは、味がめっちゃ変わるんですよ。収穫後にいちごは追熟しません。収穫した時点で糖度が止まります。だから完熟で収穫し、直売で届けるんです」

もちろん、栽培についても手間ひまをかけています。

ビニールハウスでの栽培は機械に頼る部分もありますが、センサーだけでなく、人の目で見て、手を加えることが欠かせません。

「古都華は収量が少ない品種です。酸味がきっちりありつつ、糖度が高いのが特徴です。でも、生産者次第で味が変わるのもおもしろいところ。香りを際立たせるのがうまい人も、甘味を引き立たせるのがうまい人もいます。みなさん、ほんまに手をかけているんです」

看板を出していない6FARMですが、完熟いちごの味わいは、口コミで広まっていきました。インタビュー中も、直売所には手土産を求めるお客さんが訪れていました。

経営:農業をきちんと経営するには

現在は、渡辺さん夫妻をふくむ4人が社員として働いています。また繁忙期にはパートさんを雇用することもあります。

今後、6FARMが力を入れていきたいもう一つの柱が、加工品です。

渡辺さんは、経営の視点からこう話します。

「就農する以前、『農業は休みのとりにくい仕事』というイメージがありました。ぼくたちは週休2日がよかったし、有給も取りたかった。そのためには人も雇用して、農業をきちんと経営します。売上も必要です。だからイベントへ出店してパフェやかき氷などを提供しますし、加工品にも取り組みます」

加工品の第一弾として発売したのが、古都華バターです。

6FARMでは、賞味期限の長いものから短いものまで、食品から美容品まで。枠を設けることなく、いちごの可能性を広げるいろいろな加工品づくりに取り組んでいます。いずれも顔の見える地域の事業者さんたちとコラボレーションしています。

・LOG CABINと「古都華パフェ」
・松之餅と「いちご大福」
・ナカムラヤと「フルーツサンド」
・Gelateria MOKUと「ジェラート」
・be oneselfと「バスボム」 

展望:地域とともに育つブランド

最後に、渡辺さんが地域への思いを話してくれました。

「人口が減っていくなか、地域からどんどんなくなっていくものを再生したいんです。そうした中、企業とタッグを組んで進めているのが、福利厚生としていちご狩りができる『出張いちご狩り』です。社員さんはもちろんのこと、ご家族に受けがいいですね。さらに今後は観光農園をはじめ、最終的にはカフェを開きたいんです」

完熟いちごを届けていくため、地域活性にも力を入れつつあります。

「2025年に『道の駅 クロスウェイなかまち』がオープンしました。道の駅を中心として事業者が連携し、地域観光を盛り上げていけたら。周辺には神社も、滝も、蛍が見えるスポットもあります。観光で訪れた人が、古都華の加工品をお土産として手にとってもらう。そのためにも、古都華に全国ブランドとして育ってほしいんです」

編集後記

奈良で暮らしていると、道の駅やスーパーでよく目にする古都華。いろいろ食べ比べたなかでも、6FARMの完熟いちごは美しくて、香りがよくて、ほんとうにおいしいです。

生産量は多くありませんが、味は全国区といえる古都華。どうやって全国区にしていきましょうか。日本全国に広めることも、関西圏での展開も、あるいは別の道も考えられるように思いました。

さて、6FARMとともに「古都華の全国ブランド化」に取り組んでみませんか?

(2025/5/1 編集・執筆・撮影 toi編集舎 大越はじめ)

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