ならわい2022

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第1回目 岡井麻布商店のフィールドワーク

プロジェクト

奈良の伝統的工芸品である「奈良晒」を製造する株式会社岡井麻布商店。こちらで、6代目・岡井大祐さんとともに、「麻のあるライフスタイル」から、モノ・サービスを考えます。

10/16のスケジュール

10:00-チームごとのフィールドワーク

15:00-ふりかえりと発表

17:00 解散

この日は、チームごとに企業の現場を訪問するフィールドワークを実施。

その後はBONCHIへ戻り、フィールドワークにより「わかったこと」をもとに、「これからのこと」をまとめていきます。

岡井麻布商店の工房へ

朝9時に、近鉄奈良駅にある「行基像前」で集合したチーム・岡井麻布商店。

そこから奈良交通のバスに揺られること30分。のどかな田園風景の広がる奈良市田原地区へとやってきました。

「農家さんが稲を刈っていたり、道にコスモスが咲いていたり。一つひとつが新鮮。こういう風景の中で、麻布がつくられているんですね。」

麻布織りの見学

岡井麻布商店の工房には、麻布の織り機がずらりと並んでいます。

見比べてみると、一台ずつに特徴があります。ハサミを引っ掛けるフックがついていたり、まち針を刺す針山の位置も一つずつ違っているようです。

「今、麻布を織る職人は僕を含めて3人。織り方には一人ひとりのクセが表れるので、一人一台ずつ織り機があります。」

織り機は、美容師にとってのハサミ、デザイナーにとってのパソコンのような存在の仕事道具でした。

ここで岡井さんが、織りを実演してくれることに。

ドンドントンッ、ドンドントンッ、という小気味良いリズムが工房に響きます。

「織ってみますか?」という誘いを受けてチャレンジしたのは参加者の藤田さん。

おそるおそる足でペダルを踏むと、「ドン…ドン」というどこかぎこちない音とともに、織り機が動きました。

簡単なように見えて、これがなかなか難しいんです。

工房は、麻布の実験室

事前インタビューの時から、岡井さんが繰り返し話していたことがあります。

それは、「生活に麻を取り入れたい」ということ。

思いの背景には、ものづくりを行う田原地区の環境によるところが大きいのかもしれません。

秋晴れのこの日。風に吹かれた麻のカーテンが、ゆらゆらと気持ちよさそうに揺れています。その風に乗って、窓の向こうから草刈機の音や、土の匂いが工房へ届けられます。

ここにいると、岡井さんの「生活の中に麻を取り入れたいんです」という言葉が、段々と腑に落ちてきます。

そんな工房内には、キャップ、カーテン、椅子……。さまざまな麻をつかった生活用品が並び、まるで麻布の実験室。

これらは全て、自社で企画・開発をしてきたものだといいます。そして、試作や製品化に際しては、奈良県内を中心に、色々な人の力を借りてきました。

ここで、岡井さんが見せてくれたのは麻のシャツとワンピース。

「大和高田市にあるニット会社で縫ってもらった試作です。生地がかたくて、商品化をあきらめたんです。」

こちらは麻の椅子。座面に布を貼っています。

「奈良市内の家具工房に依頼したんです。デザインは良かったんですが、だんだんと座面が擦り切れてしまうんですね。」

話を聞くうち、岡井さんが数々のアイデアを思いつき、試作品をつくってきたことがわかりました。

一方で「世界観が出来上がってしまった分、かえって次の展開をしにくいところでもあります。」とも岡井さん。

参加者からは「まだまだ色んな可能性がありそう!」という声が聞こえてきました。

発表

わかったこと

工房を訪ねたことで、岡井麻布商店さんがほんとうに丁寧なものづくりをしていることがわかりました。また、中国の麻布職人さんと連携した生地づくりや、奈良県内の事業所と連携した商品開発を行っているいることも。

その根本には「限られた需要の中で自社のシェアを広げるのではなく、需要の分母を広げていき、麻文化をつないでいきたい」という思いがありました。

これからのこと

だからこそ、私たちも岡井さんの思いが伝わる商品開発をしていきたいです。今日だけでも、キャンプ用品、パーテーション、ディフューザー、蒸し布といったアイデアが出ました。

第2回目は10/30です。

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